「自分の名義で所有している不動産を子どもに譲りたい」。
このようなご相談を頂戴するケースは多いです。
では、不動産はどのように名義変更を行うことができるのでしょうか。
ここでは不動産の名義を変更する方法についてみていきながら、そのうち代表的な2つである「贈与」と「売買」を比較してみます。
ではまず、不動産の名義を変更する方法についてみていきます。
不動産の名義を変更する方法には、以下の3つがあります。
・相続
被相続人の財産を、特定の法定相続人が引き継ぐことです。
相続税が発生するかを確認する必要があります。
相続する不動産の評価額が基礎控除の金額を超えている場合は、相続開始日から10カ月以内に申告する必要があります。
②贈与
親族や第三者に対して、生前に無償で譲ることです。
贈与税が発生するかを確認する必要があります。
暦年課税を適用している場合は、年間で同一の人物から110万円を超える贈与があるケース、相続時精算課税制度を適用している場合は、累計の贈与金額が2,500万円を超えているケースで、贈与税が発生します。
③譲渡
金銭など何らかの対価を受け取って権利を譲ることです。
譲渡所得税が発生することに注意が必要です。
不動産を売却した場合、その売却収益に対して譲渡所得税が課せられます。
譲渡所得税が以下の式で算出されます。
【不動産の売却価格-(取得費用+譲渡費用) - 特別控除】
取得費用は不動産購入時に発生した購入代金から減価償却累計額を控除した金額、譲渡費用は売却時に発生した手数料などです。
こうして算出された利益に税率(所有期間によって異なる)をかけて、譲渡所得税が算出されます。
ただしこの売却価格が市場価格と比較して著しく低い場合は、みなし贈与と判断され贈与税が発生する可能性もあるので注意が必要です(時価3億円の土地を500万円で売却した場合など)。
これらの方法から一つを選んで不動産の名義を変更することできます。
ただしいずれの方法を選んだとしても、法務局に対して不動産の名義が変更になる理由とそれを証明する証跡が必要となります。
ここまで3種類の名義変更方法についてみてきました。
では贈与と売買のどちらの方法が良いのでしょうか。
贈与と譲渡は対価の有無という違いがあります。
また時価よりも極端に安い価格で売却がされた場合などは、贈与とみなされるケースもあります。
そのため、どちらが節税対策において有効かは一概に比較はできません。
不動産の評価額を算出し、贈与と譲渡のどちらが節税に繋がるのかの判断を、専門家である税理士に依頼することも検討するとよいでしょう。
贈与と相続のどちらが節税になるかを判断するには、専門的な知識と一定の経験が必要となります。
石川税理士事務所では、不動産の名義変更の支援経験が豊富な税理士が在籍しておりますので、お悩みの皆様は、お気軽にご相談ください。